薬剤師に将来性はあるの?薬剤師が「余る」時代に生き残るヒント
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「薬剤師が余るってホント?」「薬剤師の仕事はAIに奪われてしまうの?」
この記事ではそんな薬剤師の疑問に答えるべく、薬剤師業界の将来性についてさまざまな観点で調べてみました。
薬剤師業界に精通した転職エージェントの話も参考にしているので、かなり信ぴょう性の高い内容になっています。将来性に不安がある薬剤師はぜひ最後までお読みください。
※当サイトは口コミの一部を掲載しています。
この記事に書いてあること
1. 薬剤師の将来性ってどうなの?
「薬剤師の数はもう十分足りている」という話を耳にしたことはありませんか。それは事実なのでしょうか?
たしかに、薬剤師は近い将来に飽和状態、簡単にいうと「余った状態」になると予測されています。
必要とされる薬剤師の人数(需要)と、世の中に存在する薬剤師数(供給)は、2022年頃に供給が上回ると予想されています。つまり、企業が求める薬剤師数よりも薬剤師が増え、椅子の取り合いが発生してしまうということです。
おもな原因は薬剤師数の増加にあります。厚生労働省のデータを見ると、薬剤師数は年々増加傾向にあり、有効求人倍率も下降の一途をたどっています。実際「この数年で薬剤師の内定獲得率は下がっている」と実感している転職エージェントもいるようです。
薬剤師人数(人数) | 有効求人倍率※ | |
---|---|---|
平成26年 | 288,151 | 7.00 |
平成28年 | 301,323 | 6.25 |
平成30年 | 311,289 | 4.59 |
令和2年 | 未発表 | 2.01 |
※厚生労働省「一般職業紹介状況」より
※「医師、薬剤師等」の数値
さらにもう少し先の2036年度の予測を見てみると、薬剤師総数(供給)が約41万人であるのに対し、需要総数が約39万人という明らかな供給過多時代を迎えます。
これらの状況を踏まえると、薬剤師の将来は明るいものとはいえません。
将来にわたって薬剤師として安定的に仕事をしていくには、職場の選び方や逆境をはね返すスキルを把握しておく必要があります。
2.【職場別】薬剤師の将来性
決して明るいとはいえない薬剤師の未来。一方で調剤薬局やドラッグストアなど、職場別で見るとそれぞれ見通しが異なるようです。詳しく見ていきましょう。
2.1 調剤薬局で働く薬剤師の将来性
個人または1店舗の調剤薬局の数は2013年(平成25年)をピークに減少傾向にあります。一方で、調剤薬局で働く薬剤師は4年で2万人も増加しているのです。つまり調剤薬局は、薬剤師が十分に足りている「充足傾向」となりつつあります。
平成26年 | 平成28年 | 平成30年 | |
---|---|---|---|
薬局の従事者 | 161,198 | 172,142 | 180,415 |
※厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」より出典
またテクニシャン制度の導入も、薬剤師充足の後押しになっています。テクニシャンとは、薬剤師の補助として軽作業や事務作業を行う担当者のことです。
テクニシャン制度の導入により、薬剤師一人当たりの仕事量が減り平均給与も下がるといわれています。
さらに、政府の医療費削減の方針も給与下降を加速させています。薬価の引き下げや調剤報酬が下落傾向にあることで、調剤薬局の利益が減少しているのです。
【調剤薬局の将来性まとめ】
- 調剤薬局の店舗が減少傾向にある
- 調剤薬局で働く薬剤師が増加傾向にある
- テクニシャン制度で一人当たりの給与が減少傾向にある
- 薬価や調剤報酬の下降により調剤薬局の利益が減少傾向にある
これらを踏まえると、調剤薬局の薬剤師は将来性があるとはいえません。
2.2 製薬企業で働く薬剤師の将来性
製薬会社勤務の薬剤師の将来も決して楽観視はできないようです。なぜなら、製薬会社で働く人の数が減ってきているからです。データ上でも4年間で2,000人以上減っていることがわかります。
平成26年 | 平成28年 | 平成30年 | |
---|---|---|---|
医薬品関係企業 の従事者 |
43,608 | 42,024 | 41,303 |
※厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」より出典
特にMRの需要は大きく下がっています。2019年のMR白書によると、MR総数は年々減少傾向にあり、2013年(平成25年)に約65,000人でしたが、現在は約59,000人まで減っているのです。
おもな原因としては、後発医薬品の台頭により、新薬が出づらくなってきていることが挙げられます。また、規制により臨床試験の計画の策定や提案、学会情報の提供といった業務ができなくなりました。その結果、MRの仕事量が減ってしまったのです。
2019年はおよそ6割の製薬会社がMR新卒採用を行っていません。製薬業界は調剤薬局同様に、薬価改定による利益率の変動が大きく、今後さらに国内市場は厳しくなっていくと思われます。
製薬会社では組織体制や給与体系の見直しが急がれており、MR需要の低下だけではなく給与額にも影響を受ける企業も増えてくる見通しです。
MR経験者の中には営業スキルを生かし、医療機器メーカーや食品会社に転職している人も増えてきています。しかし、平均給与が高いMRからの転職は、給与が下がってしまうケースが多く、理想的な転職は難しいようです。
【製薬企業の将来性まとめ】
- そもそも製薬会社で働く人の数が減少傾向にある
- MRの需要が減少傾向にある
- 薬価改定による利益率の下降により製薬企業の利益が減少傾向にある
企業薬剤師の将来は決して明るいとはいえないのが現実です。
2.3 ドラッグストアで働く薬剤師の将来性
将来性の不安が拭えない調剤薬局や製薬会社に比べると、ドラッグストア業界の見通しは比較的明るいといえそうです。
調剤併設型の店舗が増えたことにより、薬剤師の需要は高い状態が続くでしょう。
高齢化が進む日本では、調剤併設型のドラッグストアの需要が年々増加傾向にあります。日用品や化粧品の買い物と一緒に、薬に関する相談・購入もできるからです。24時間営業の店舗も増えているため、薬剤師の人員確保が追いついていません。
また、ドラッグストアは処方薬だけではなく、日用品や化粧品の販売も行っているので、診療報酬改定などの影響を受けにくいという強みをもっています。
これは調剤薬局や製薬会社にはない大きなアドバンテージといえるでしょう。それがドラッグストアで働く薬剤師の高年収・高条件にもつながっているのです。
ドラッグストア業界では近年、M&A(合併・買収)も頻繁に行われています。シェア争いが激化する中、他社の強みを獲得することが生き残るための鍵なのです。
【ドラッグストアの将来性まとめ】
- 調剤併設型のドラッグストアの需要が年々増加傾向にある
- 調剤報酬や薬価改定の影響を受けにくい
これらの特徴から、将来は比較的明るいといえるでしょう。
2.4 病院で働く薬剤師の将来性
病院で働く薬剤師の将来は比較的明るく、希望がもてそうな見通しです。下記の表でもわかとおり、医療施設で働く薬剤師の数は年々増加しています。
平成26年 | 平成28年 | 平成30年 | |
---|---|---|---|
医療施設の従事者(病院) | 54,879 | 58,044 | 59,956 |
※厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」より出典
おもな理由は、2012年(平成24年)の診療報酬改定による「病棟薬剤業務実施加算」の新設です。これにより病院はじめ医療施設での薬剤師の需要が伸び、服薬指導といった病棟業務も増加していくでしょう。
その一方で、病院薬剤師は業務の厳しさや年収の低さなどから薬学生の就職数が減少し、慢性的に薬剤師が足りていない状態が続いています。
病院はドラッグストア同様、売上構成は調剤報酬のみではないため、調剤報酬や薬価改定による影響も大きくありません。年収が少ないことが問題視されていることから、今後給与改定や見直しが行われる可能性もあります。
さらに高齢化が進むことで、医療施設においてはがんや病気の緩和ケアといった専門知識のある薬剤師の価値は特に高まります。
調剤薬局やドラッグストアと比較してもさまざまな立場の人と話す機会も増えるため、コミュニケーションスキルも高められるでしょう。
【病院薬剤師の将来性まとめ】
- 医療施設での薬剤師の需要が増加傾向にある
- 調剤報酬や薬価改定の影響を受けにくい
これらのポイントを踏まえると、病院薬剤師の将来は比較的明るいといえそうです。
3. AIに薬剤師の仕事が奪われるってホント?
「AIによって薬剤師の仕事はなくなってしまうのではないか」と不安に思う薬剤師も多いでしょう。ただし現時点では、AIによって薬剤師の仕事がなくなることはありません。
AIは、求められた仕事の忠実な実行を強みとしています。患者とのコミュニケーションが必要不可欠な薬剤師の仕事を丸ごと引き受けるのは難しいでしょう。
あくまで薬剤師の業務効率化をサポートしてくれる存在なのです。
最近では、次世代型電子薬歴として「Musubi」というサービスがリリースされました。薬剤師の業務の効率化や服薬指導の充実化のために今後もAIを活用したさまざまなサービスが続々と世に出てくるでしょう。
今後、薬剤師はロボットにはできない分野のスキルを高めていく必要があります。患者との円滑なコミュニケーションや、患者の状況を見極め、適切な対応ができる薬剤師が求められるでしょう。
4. 将来性のある薬剤師になるためには
ここまでふれてきたように、薬剤師全体の将来は決して順風満帆とはいえません。
そんな逆境に負けず、将来性のある薬剤師になるためにはどうすればよいのでしょうか?ポイントは以下3つのスキルを獲得することです。
- コミュニケーション能力
- 高い専門性
- マネジメント能力
詳しく説明していきます。
4.1 コミュニケーション能力
一昔前までは、薬剤師は医師の処方箋に沿って調剤し、患者に薬を渡す仕事とされていました。しかし現在は、医薬分業によって高度なコミュニケーションを軸としたサービスが求められる時代です。
また、高齢化が進むにつれ、在宅医療やかかりつけ薬剤師の取り組みが本格化し、より高度なコミュニケーション能力が求められるようになるでしょう。
患者の症状を正しく聞き出す傾聴力、潜在的なニーズを満たすための会話力、相手のニーズを的確にとらえた提案力があってこそ、患者はもちろん、医師からの信頼も勝ち取ることができるはずです。
4.2 高度な専門性
専門性というと、特に病院薬剤師を想像するかもしれませんが、今後は調剤薬局などでも求められる時代になるでしょう。
厚生労働省も、薬局はかかりつけ薬剤師・薬局としての「健康サポート機能」、そしてがんやHIVといった難病の患者に対する高度医療にも携われる「高度薬学管理機能」を強化していくべきと発表しており、薬剤師の専門性は必要不可欠です。
高い専門性をもつ証明として、やはり資格は外せません。研修認定薬剤師はもっていなければ不利になってしまうこともあるので取得しておきたいところです。
また、がん専門薬剤師、がん薬物療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師、感染制御専門薬剤師などといった専門的な資格は、特定分野を高めたい企業や医療機関から重宝されます。
特に、専門薬剤師は年収アップの交渉がしやすくなるため、高年収を狙う薬剤師には必須です。
ただし、専門薬剤師になるためにはまず認定薬剤師になる必要があります。例えば、がん専門薬剤師になるためには、5年以上の研修を受けなければいけません。さらに、指定の認定試験に合格しなければならず、相当な努力が必要です。
将来に向けて専門性を高めたいなら、まずは自分の興味のある分野から取り組んでいきましょう。
4.3 マネジメント能力
現在の薬剤師転職市場において「マネジメント能力の高い管理薬剤師」は非常に価値の高い存在です。
そもそも管理薬剤師自体が、企業にとっては貴重な存在です。薬局全体を管理するため長時間労働が必要となる管理薬剤師は、人員確保が間に合っていないのです。
そんな状況下で、マネジメント能力が高い管理薬剤師の将来性が高いのは当然といえるでしょう。もし年齢が高くても転職できる可能性は高いです。
5. 将来性が不安なら薬剤師転職サイトに登録して相談してみよう
ここまで、薬剤師の将来性をテーマにさまざまな情報を紹介してきました。
薬剤師にとってはなかなか厳しい時代が到来する可能性が高いですが、逆境に負けない職場・業界を見極めることが大切です。
そして、今後自分自身のキャリアをどう構築していくか、どんなスキルを身につけるべきかという設計も重要になってくるでしょう。キャリア構築のイメージが湧かないという方は、転職サイトに登録してエージェントに相談することをおすすめします。
薬剤師専門のエージェントであれば、流動的な市場の流れも細かくキャッチし、客観的なアドバイスをしてくれます。薬剤師の求人を紹介してくれるだけではなく、あなたのキャリアの棚卸しや今後のキャリアプランの描き方まで相談に乗ってくれるのです。
「明確なビジョンはないけれど、将来になんとなく不安を抱えている」という方はまずエージェントに相談してみましょう。
将来性が不安な薬剤師におすすめの転職サイト
薬剤師専門の転職サイトは複数あり、相談方法が「対面式」か「電話・メール」かに分かれます。
大手の薬剤師専門転職サイト「マイナビ薬剤師」は対面による相談が可能で、保有する求人数もトップクラスです。
それぞれの転職サイトの特徴や強みを把握し、自分に合った転職サイトに相談しましょう。
おすすめの転職サイト | 求人数 | 相談方法 |
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マイナビ薬剤師 | 43,837件 | 対面 |
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ファルマスタッフ | 48,144件 | 対面 |
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薬キャリAGENT |
67,547件 | 電話 |
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