パート薬剤師は扶養を気にしなくていい⁈ オススメの働き方2選
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「そもそも扶養って何?」 「扶養を外れるとどうなるの?」 時給が高いパート薬剤師が働く際に注意したいのが「扶養」の問題です。年収によっては、せっかく働いたのに保険料などの負担が増えてしまう可能性があるのです。
今回は「扶養」をテーマに、パート薬剤師のかしこい働き方について説明します。
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1. 扶養内・外の区切り目は?
そもそも「扶養」とは、自力では生活できない人を養うことを意味します。おもに収入における生活面で、助けてもらう必要のある家族のことを「扶養家族」といいます。
扶養には、次の2つの種類があります。
それぞれ「扶養家族」として認められる条件は異なります。
1.税法上の扶養・・・所得税と住民税が控除されるという金銭面での優遇がある。
2.健康保険法上の扶養・・・収入が限度額内の扶養家族は、一定の条件を満たしていれば健康保険料を支払わずに健康保険に加入できる。
配偶者を含めた扶養家族は、働いても一定の収入範囲までなら「扶養家族」として税金が控除されます。しかし、法律で定められている収入の上限額を上回ると、扶養家族の枠を外れてしまいます。
つまり、税金が控除されないため、扶養内で働くより保険料などの負担額が増す可能性があるのです。
次の項目では、「扶養内」で働くために意識すべき年収のラインを具体的に説明していきます。
ー103万円の壁
最初に意識すべき年収のラインは、103万円です。
パートで働く主婦の年収が103万円以下の場合、配偶者控除によってその分の所得税がゼロになります。仮に源泉徴収などで税金を支払っていたとしても、確定申告を行えば全額返済されます。
年収103万円を超えた場合は配偶者に所得税がかかります。一方「配偶者特別控除」(扶養者の所得控除)という制度も適用され、配偶者の年収が201.6万円になるまで控除を受けることができます。
控除額は配偶者(パート主婦)の年収によって異なります。扶養者の年収が1000万円以下の場合、年収150万円までは最大38万円の所得控除を受けられ、150万円を超えると控除額は段階的に下がっていき、201.6万円まで所得控除を受けられます。
配偶者特別控除を受け取るためには?
「配偶者特別控除」を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
- 控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円以下
- 配偶者と民法上の夫婦であること(内縁は対象外)
- 配偶者と生計を一にしていること
- 配偶者の給与収入が103万円から201.6万円未満であること
- 配偶者が他の人の扶養親族となっていないこと
- 配偶者が青色申告者・白色申告者の事業専従者でないこと
※配偶者の年収が103万円以内であれば、配偶者控除が適用されます。
※参照:国税庁
ー130万円の壁
次に意識した方がよいのは「130万円の壁」です。
130万円は、社会保険の扶養に関する基準です。妻の年収が130万円以下であれば、健康保険法上での扶養家族となり、健康保険料や厚生年金保険料などの支払いは発生しません。
しかし、年収130万円以上になると、控除対象配偶者ではなくなり、社会保険料や厚生年金保険料などをパートで働いている本人が負担することになります。家庭にもよりますが、負担金額は年間20万円ほどです。
そのため年収130万円を超える場合は、約160万円以上の収入がなければ負担金額の方が多くなります。「103万円の壁」よりも影響が大きいため、ぜひ意識したい年収のラインです。
新たにできた「106万円の壁」
平成28年10月から厚生年金保険、健康保険の加入対象が広がり、これまで社会保険加入ができなかった方も条件を満たせば加入できるようになりました。
具体的な条件は、以下の全てを満たす短時間労働者が対象です。
- 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上である
- 1ヶ月あたりの決まった賃金が8万8,000円以上である
- 雇用期間の見込みが1年以上であること
- 学生でないこと
- 以下のいずれかに該当すること
・従業員数が501人以上の会社で働いている
・従業員数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている
※詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
新たにできた「106万円の壁」によって、正社員との格差是正につながる、健康保険や厚生年金に加入することで保障が受けられるといったメリットがあります。一方で、手取り額が減る可能性もあります。
ー150万円の壁
4つ目の壁は「150万円の壁」です。103万円の所得税の配偶者控除を超えたとき、「配偶者特別控除」が適用される上限のラインです。
所得控除額は、妻の年収が103万円~150万円までが最大で38万円で、年収150万円を超えると段階的に減っていきます。
ー201.6万円の壁
最後の壁が「201.6万円の壁」です。
配偶者の年収が201.6万円を超えると、配偶者特別控除から外れてしまいますが、年収150万円を超えてから段階的に控除額が減っていくため、「201.6万円の壁」の前後で大きな差は出ません。
そのため扶養を気にして働く場合には、社会保険料が発生する「130万円の壁」を意識するとよいでしょう。
◎夫の収入別!3つのケースと注意点
ここまでお伝えしてきた「年収の壁」は、あくまで一般的な話です。控除される金額は、夫の収入や職業によっても変わります。
ここでは具体的な例を3つ紹介しましょう。
【ケース1】夫の職業:会社員(年収1,000万円以下)
もっとも一般的なケースで、103万円の壁・130万円の壁があります。103万円を超えても201.6万円までは「配偶者特別控除」が受けられます。
【ケース2】夫の職業:会社員(年収1,000万円以上)
夫の年収が1,000万円を超えると、「配偶者特別控除」が受けられなくなります。妻の年収が103万円を超えると所得税が大幅に増え、世帯収入が減る可能性も。このケースでは、130万円の壁だけでなく103万円の壁にも注意が必要です。
【ケース3】夫の職業:自営業
夫が個人事業主の場合は、130万円の壁はありません。130万円の壁は、夫が会社員などで、保険者が企業である社会保険に加入している場合に適用されるためです。個人事業主が加入するのは国民健康保険であるため、妻の年収が130万円を超えても気にする必要はありません。
ただし自営業でも年収1,000万円を超えると、「配偶者特別控除」がなくなるため、【ケース2】と同様に103万円の壁を意識しましょう。
扶養について考える際に大切なのは、自身の年収より夫の年収です。しっかり確認しておきましょう。
2. パート薬剤師は扶養を気にしなくてもいい?
ここまで扶養の基礎知識をお伝えしてきました。
これらの扶養による年収の壁は、薬剤師がパートで働く際も意識した方がよいのでしょうか?
ここからは、薬剤師がパートで働いた場合の具体例を紹介します。
【ケース1】時給1,500円の場合
時給1,500円×1日5時間×週3日勤務
=月収9万円、年収約108万円
103万円の壁は超えるものの、130万円の壁を超える可能性は低いといえます。
時給1,500円というのは、パート薬剤師としては決して高い金額ではありません。もう少し時給が高い職場で、扶養を気にせず働くのがオススメです。
転職エージェント経由でパートを探せば、より高時給の求人が数多く見つかるでしょう。
【ケース2】時給2,000円の場合
時給2,000円×1日5時間×週3日勤務
=月収12万円、年収約144万円
社会保険の130万円の壁を超えてしまいます。
130万円を超えると、約160万円以上働かなければ損失が出てしまいます。時給2,000円で働く場合は、130万円以内に収めるか、もう少し長く働いて160万円以上になるよう調整しましょう。
パートで働くのであれば、時給2,500円クラスの職場で無理なく働いて、扶養を外れるのがよいでしょう。職場や地域にもよりますが、時給2,500円台のパート薬剤師の求人も多くあります。
扶養を意識しすぎると、昇進や昇給が遠のく可能性もあります。パートでキャリアを積みたい方は、扶養にこだわらない働き方がオススメです。
扶養を気にせず済むような、高時給で勤務条件の良い求人を探すためには、転職エージェントを利用すると便利です。転職エージェントはパートの求人も多く扱っているため、自分にピッタリの就職先を探すことができます。非公開求人に出会えることもあります。
求人の探し方のコツは、あまり条件を絞りすぎないこと。どのサイトにも「扶養内勤務OK」といった検索条件がありますが、この条件で絞って検索すると高時給の求人が除外されてしまうのです。まずは扶養にとらわれず、それ以外の希望条件で探してみましょう。
3. パート薬剤師が効率よく働ける職場2選
1. 調剤薬局
調剤薬局の薬剤師のおもな仕事は、調剤、鑑査、患者への服薬指導です。シフト制の勤務が基本で、複数の薬剤師が交代で勤務します。人員に余裕があれば、希望の勤務日数・時間で働けるでしょう。
パートも正社員と同様に調剤業務をおこないます。管理薬剤師になると従業員の管理や売上管理などの雑務が増えますが、それらの仕事をパートに任せることはありません。さほど負担なく働けるでしょう。
ただし、忙しさは勤務先によって異なります。特に大病院や患者数の多いクリニックそばの薬局は、一日中忙しいこともあります。
調剤薬局でパートとして勤務した場合、地域差はありますが平均時給は2,200円ほど。年収は160万円前後です。扶養を外れて働きたい方には向いているでしょう。
2. ドラッグストア
ドラッグストアも人気の職場です。
近年増えている調剤併設の店舗では、調剤、鑑査、服薬指導などの業務を中心に行います。その他にもOTC医薬品や化粧品の販売、品出し、レジ打ちなど幅広い業務をこなす必要があります。薬剤師としての知識やスキルを身につけたい方は、負担に感じるかもしれません。
勤務はシフト制で、派遣やパートやアルバイトで働いている方も多い職場です。接客経験がある人は、働きやすい職場でしょう。
ドラッグストアの平均時給は1,800円ほど、年収は150万円前後です。調剤薬局より低いですが、扶養を外れても損しないラインはクリアできます。
4. 【まとめ】扶養が気になる薬剤師へ
根本的な扶養制度の仕組み、控除額などはおわかりいただけたでしょうか。夫の年収との兼ね合いでどのラインを意識して働いた方がお得なのか、自分のライフスタイルにはどちらが適しているのかなどを意識するとよいでしょう。
ポイントは薬剤師のパートは高時給なので扶養にとらわれずに働いた方がよいということです。扶養を気にしながら働くより、時給2,500円クラスの職場で無理なく働いて、扶養を外れるのがよいでしょう。職場や地域にもよりますが、時給2,500円台のパート薬剤師の求人情報も多くあります。
扶養を意識しすぎると、昇進や昇給が遠のく可能性もあります。パートでキャリアを積みたい方は、扶養にこだわらない働き方がオススメです。
扶養控除制度の仕組みについての知識をぜひ今後の働き方を考える際の参考にしてみてくださいね。
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