調剤薬局事務員はどこまで薬剤師を手伝っていいの?
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調剤薬局事務員の業務範囲はどこまでなのでしょうか。薬剤師のヘルプとしてピッキングまで日常的に行っているところもあれば、調剤行為に関わる作業はいっさい行わない受付業務のみなど、現場によって仕事がまちまちなのが現状です。ここではその業務範囲について考えてみましょう。
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増える薬局事務員のピッキング! 規定のない仕事の範囲
薬剤師法第19条に「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない」とあります。つまり、薬剤師以外は調剤行為はしてはいけないということになっています。しかし、調剤薬局の現場では、薬剤師以外のスタッフが調剤業務の一部を行っているケースが多く、その是非が問われています。
国内の調剤薬局のほとんどは中堅・中小規模の経営であり、必要最低限の人数しか薬剤師が勤務していないのが現状です。さらに個人経営の調剤薬局の場合は一人薬剤師であることがほとんどで、そういった理由から事務員と薬局長の二人三脚で店舗運営をしているのが現状です。薬剤師法では、薬剤師一人が調剤できる処方箋の枚数は1日40枚までと定められています。
しかし、実態は70枚、80枚と規定を超える調剤をするケースが多く、薬剤師一人が対応できる限界を超えています。
薬剤師一人では対応できないため、調剤室でのピッキングなど調剤作業の一部を事務員に任せて何とか対応しているというケースが目立っています。そうした行為が違法であることは薬剤師自身も十分認識しているはずですが、業務をこなすためにやむを得ず行っているのです。
また、経営者より処方箋枚数のノルマを課されている薬剤師も多いといわれています。まずは経営側の意識改革が必要なのかもしれません。
こうした現状は中堅・中小規模の薬局に限ったものではありません。規模が大きく複数の薬剤師がいる調剤薬局でも、薬剤師が調剤する処方箋の枚数は多く、同じようにピッキングなどを事務員が行っているようです。
処方箋の枚数が多ければそれだけ調剤報酬も増えます。しかし、処方箋の枚数を増やすことが目標であってはならないはずです。
懸念される調剤現場での過誤
薬剤師以外が調剤行為を行うことでもっとも懸念されるのは過誤の危険性です。本来であれば、複数の薬剤師による二重、三重のチェックがあってこそ安全性が確保されるはずですが、多くの場合薬剤師一人が最終確認をすることになります。自分の仕事を自分でチェックするためにはすべてを疑うという前提が必要であり、より慎重に確認をしなければなりません。
禁忌薬や、重複投薬などの専門知識をもたない無資格者や未経験者が関わると、さらに慎重な確認が必要となります。調剤過誤などのミスを犯す危険が高まるばかりか、薬剤師自身も大きなストレスを抱えることになります。調剤ミスによる健康被害は患者の命をも左右しかねないため起きてはならないことなのです。
ピッキングだけじゃない! 一般的な薬局事務員の仕事
ある調剤薬局での事務員の仕事を紹介しましょう。
1. 処方箋を患者から受け取り、初回訪問か再訪問かを確認し、さらに処方箋の有効期限を確認する
2. 保険証変更の有無を確認し、変更ありの場合は提示を求める
3. 薬剤師の監査が終了した処方箋をもとに、コンピュータ入力
4. 服薬指導終了後、薬歴簿への情報の記入
5. 処方内容に従って調剤報酬を算定し精算
6. レセプトの集計
7. レセコンの入力、辺戻
8. OTC薬・備品の発注、管理
9. レジ打ち
こうした一つ一つの仕事が、はたして調剤行為に当たるのかどうかという判断は簡単ではありません。何気なく行っている仕事が、調剤行為に当たる可能性もあるわけです。現場にこれらの判断が委ねられているわけではありませんが、明確な指針が出ていないことが薬局事務員の仕事の範囲が曖昧になっている原因ではないでしょうか。
調剤現場だけの責任ではない
万が一調剤ミスなどの過誤が発生したとしても、現場だけの責任とはいえません。経営効率化のための人件費削減により、必要最低限の薬剤師しか配置されていないことや、厚生労働省などの公的機関が業務範囲についての明確な規定を定めていないなど業界全体の責任であるといえます。
患者の命に関わる重責を担う以上、求められるのは順法精神と高いモラルです。安全性の確保が難しいのであれば、現場サイドから経営者へ職場環境の改善を求めるべきであり、経営者も利益より安全性を優先した経営をすべきなのではないでしょうか。
医薬分業は患者にとっての利便性の向上、病院薬剤師の業務負担軽減と入院患者へのサービス向上など多くのメリットをもたらしました。患者にとって調剤薬局はなくてはならない存在であり、全幅の信頼が寄せられています。業界全体の改革が待たれるところです。
調剤薬局の仕事は患者の命に関わる責任の重い仕事ですので、順法精神と高いモラルをもった、仕事に対する真摯な姿勢が求められます。
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