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忙しい薬剤師にも大学院で学ぶ機会を!東京理科大学大学院が社会人専修コースに込めた想いとは?

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「薬剤師として働いてみて研究したいテーマが生まれた」「より専門的な知識を学びたいけど仕事が忙しくて…」

そんな薬剤師の方におすすめしたいのが東京理科大学大学院薬学研究科の社会人専修コースです。

働きながらでも博士号が取得できる社会人専修コースとはどのようなものなのでしょうか?東京理科大学薬学部長の宮崎智教授にお話を伺いました。

宮崎智(みやざきさとる)教授
東京理科大学理工学部情報科学科卒業。東京理科大学大学院理工学研究科情報科学専攻修士課程修了。博士(理学)。
専門はゲノム生物学 (バイオインフォマティクス、データベース)。
現在は東京理科大学薬学部学部長を務めている。

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

この記事に書いてあること

1.薬剤師が大学院で学ぶ3つのメリット

-薬剤師が大学院で学ぶメリットはなんでしょうか?

大きく分けると以下の3つです。

  • 博士の学位取得により専門性の高さを証明できる
  • 研究の設備や研究材料、実験等の環境が整っており高度な研究が可能
  • 幅広い分野の専門的な教授や講義から知識を深めることが可能

1つ目の「博士の学位取得」は言葉の通りです。

博士号を取得できるため、専門性の高さを証明できます。例えば企業薬剤師の方は、海外の方とやりとりをする際には博士号を持っているかどうかで、発言の影響力がかなり変化します。海外の方と話すときに、会社の役職などは相手と文化が違うため肩書として不十分ですが、博士という学位は世界でも通用する肩書なため取得すると専門性が高いと認識されます。

病院薬剤師が医師の先生と会話する際も同様で、博士号取得していると、専門性が高いだけではなく論理的な思考力、判断力の裏付けとなり、信頼される存在になります。その結果、影響力が増し、薬剤師観点の提案が治療に反映されやすくなります。最終的には、患者さんへのよりよい治療に繋がります。

2つ目は研究の設備や研究材料、実験等の環境が整っていることで、高度な研究が可能なことです。

基本的に社会人学生の方にはご自身の職場で生まれた疑問点を研究テーマに扱っていただきたいです。例えば、病院で勤務されて「新しい医療的な技術を工夫して患者さんの治療に活かしたい、そのためには研究が必要だ」と思っても、病院の設備が専門的な研究をするのに向かない場合もあるでしょう。大学院では研究の設備や研究材料の消耗品などが整っています。

他には、調剤薬局に勤務の薬剤師がレセプトコンピュータのビッグデータを使って研究したいと思っても、研究するにはコンピュータのスペックが物足りない場合やデータ解析ソフト等がない場合があるかもしれませんが、大学院の設備であれば研究することが可能でしょう。

大学院には専門的な研究を行う環境が整っているというメリットがあります。

3つ目は幅広い分野の専門的な内容を学べることです。

大学院では認定薬剤師の講義に多い症例などの実践的な内容だけでなく、最先端治療の知識や、薬剤のメカニズムなどのより専門的な内容を幅広く学べます。また、同じ分野に関して専門性の高い教授から助言もいただけます。

例えば東京理科大学では、治療薬を有機化学専攻の教授が解説する物性の観点から学ぶ講義があります。根本的な薬のメカニズムを学ぶことで、MRの方に提案された薬をただ処方するのではなく、本当に患者さんのためになる薬なのかを判断し、医師に相談・提案ができるようになります。

また大学院では、博士号取得に必要な論文作成や学会発表の方法なども学ぶことができます。4年制大学で薬剤師資格を取得された方は、論文作成や学会発表などの知識を講義で行っていないと思いますが、どなたでも博士号を安心して取得できるように講義として行っております。

2.働きながら学位(博士)取得できる社会人のための制度

宮崎智教授取材写真

-「社会人特別選抜制度」と「社会人専修コース」とはどのような取り組みなのでしょうか?

「社会人特別選抜制度」とは4年制の大学に通って薬剤師資格を取得された方にも、大学院博士課程の出願資格を与えるために作られた制度です。4年制の大学を卒業して薬剤師なられた方でも6年制の大学に通った方と同等以上の学力を有する場合には、特別に大学院博士課程の出願資格を与えるというものです。

もう一つの「社会人専修コース」は薬剤師の方が働きながらでも学位取得を目指すことができるカリキュラムです。

夜間や休日に講義を開講し、日中忙しい薬剤師でも座学の単位取得を可能にする取り組みです。

臨床における薬物療法を扱ったクリニカルリサーチ専修コースと、医薬品・医療機器の客観的評価を行うための科学的方策を研究するレギュラトリーサイエンス専修コースの2つがあります。

-どのような想いでこのような取り組みをされているのでしょうか?

今までの薬剤師は薬の調剤を主に求められていましたが、これからは患者さんの体調や健康のために何ができるかを考え提供することが求められます。そのため、より専門性が高く、幅広い知識をもった薬剤師を生み出していきたいというのが私達の想いです。

そのために、現役薬剤師の方がより高い専門性を身につけられる場所として社会人専修コースを大学院に用意しました。

しかし、現役薬剤師の方に大学院で学ぶにあたり課題が2つありました。

1つ目はまだ薬剤師の人数割合としては4年制の大学を卒業して薬剤師なられた方に大学院博士課程出願資格がないこと。

2つ目は仕事で忙しい薬剤師の方では、日中に講義や研究をする時間がないことです。

これらを解決するために作られたのが社会人特別選抜制度と社会人専修コースです。

まず社会人特別選抜制度に関して説明します。

2006年にあった改正薬剤師法により、現在は薬剤師国家資格取得のために6年制の大学卒業が必須です。つまり、薬剤師法改正後の薬剤師は大学院博士課程出願資格を満たしていますが、2006年以前に薬剤師資格を取得された方は4年制の大学卒業なため大学院博士課程出願資格が与えられていません。

しかし、本学では薬剤師としての現場経験は大学での学習に相当すると考えこの制度をはじめました。

社会人専修コースも同様で薬剤師の方により高い専門性を身に着けていただくためのものです。

大学院での学位取得は講義を受けての単位取得が必須ですが、実際に働かれている薬剤師の方は日中多忙なため、夜や休日も開講して大学院で学ぶハードルを下げることを狙いとしました。

3.薬剤師の専門性を今より高める取り組みを

-博士号取得はどんな薬剤師の方にオススメなのでしょうか?

もちろんすべての薬剤師におすすめです。特に社会に出て実務を経験した際に感じた疑問や改善点を解決するための場として大学院を利用してほしいです。

-今後の大学院の展望を教えて下さい

私達は薬剤師が今より患者さんの健康や体調管理を考えより良い影響を与えられるように、薬剤師の専門性を高めていきたいと考えています。

具体的に考えていることは2つです。

1つ目は東京理科大学オリジナルの実務における薬学の資格を作っていきたいと考えています。この資格は取得することで、他薬剤師や医師などに実務薬学に対する専門性と権威性が認められるのを目指しています。実際に資格を取得することで、医師へ薬剤に関する提案がしやすくなり、結果的に患者さんへの投薬の質が高まるといった効果が期待できるでしょう。

2つ目は海外の薬剤師資格を取れるようにしたいと考えています。グローバル化が進む今の時代、幅広い知識や専門性を高めるためには海外に出ていくことが必須ですが、今の日本の資格では海外で薬剤師業務を行うことができません。これらの問題を解決するために海外大学との提携や海外薬剤師資格取得のサポート行っていきたいです。

大学院という学びの場から薬剤師の専門性向上に取り組みつつ、日本の薬剤師の発展に貢献していきたいです。

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